雪かき

なかよしの印刷屋さんの社長は、雪かきは私の趣味だと信じて疑わない。
そうではない。
頼みもしないのに雪は降ってくるし、人様に除雪をお願いするだけの予算は計上できないし、仮に朝一で除雪をしていただいてもその後降り続いてしまえば結局自力で何とかしなければならないのであるから、「雪かき力」を保持していないと泣くのは自分である。
そう考えて、除雪機を友として黙々と雪かきをしている。
彼が勘違いをしているのは、私が楽しそうだからかもしれない。
「あ~あ、また降っちゃった。雪かきしなくっちゃ。やだな。」
などと思ってやっていると、よけいに辛く惨めになる。
まるで、残され掃除をしている時の気持ちである。
だからこそ、楽しめる要素を見つけ出して前向きに取り組んでいるのである。
「雪はダイエットの神様からのプレゼント」と考えて、有酸素運動に精を出し、単純作業は辛くなるので、雪かきをする状況は、積雪量、雪の重さ、日照、気温、湿度、風力、風向、など全く同じ状況は二回と無く、さらにその先の天候まで考えに入れてその日の状況に合った最適の除雪プランを考えて実践するに至っては「雪かきは雪上のチェス」と呼ぶにふさわしい大人のスポーツなのだ。
対戦相手は無く、ひたすら自分自身と向き合い戦い続ける孤独なスポーツなのだ。
スポーツでも楽器でも上手になることには喜びが伴い、納得の行くプレイができたときには自己肯定感が高まる。

そう思い込むようにして、くじけずに辛い雪かきを続けている。
そう、雪かきは趣味ではく特技なのである。

今年初の本格的な雪かきを終えての一考でした。

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